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刀語 第9話  王刀・鋸 の感想 [刀語]

将棋をさすとがめ、汽口慚愧に勝つ。

天童将棋村

約束どおりに虚刀流鑢七花と王刀・ノコギリをかけて勝負をする。
。。。ああ、髪の毛が刀に見える汽口。
はいと
怒り出す汽口。剣士が刀なしで戦える分けがないでしょうと。
武具をしない相手と戦うなんて心王一鞘流をバカにしていると。

七花、とがめに。。。まいたっととがめ。
防具を着けて、木刀で戦う七花、あっけなく負けてしまう。
七花を気にして走るよりとがめ。えっと汽口。あの?

出羽の天童将棋村。。。将棋の聖地を呼ばれる地。

四季崎記紀の変体刀。王刀・鋸を求めてこの地におずれた2人。
そうぞうに刀の元主。心王一鞘流12代目当主 汽口慚愧との交渉にあったのですが
失敗に終わっています。

あやまる七花。ほんとに剣がつかえない。汽口がいうよおうに武器をもって
弱くなるなんて考えられないと。いいわけと思われてのしかたない。
俺には説明できない。
そてどうしたものか?これはこれで手詰まりだ。。。将棋だ。
でもさあ。なんだろう。四季崎記紀の刀の毒に当てられているとは、思えない
真っ直ぐさだよな。汽口は。・・・それだけでも変人。
当てられておらぬのかな?ひょっとしてそれが王刀・鋸の特性かもしれぬ。
うん。それってどれだよ。
だから、四季崎の刀の毒を持たぬ四季崎の刀であることがだ。砕いているなら
毒気のなさこそが王の証しというのか。仮に、防具なしの無刀、反則なしで
汽口と対峙していたら、果たしてそなたは勝利を収めることができておったか?
ううん?わからない。ただ言えることは、汽口には隙がないって思った事だよ。
まるで張り詰めた意図だった。気迫って言うのか。そういうのがひしひしと
感じられたぜ。あれくらいまじめに剣の道に励んでいる人間っていうのは初めて
見た気がする。
。。。不機嫌なとがめ。
これまで戦ってきた相手の中じゃ。それなりの上位に食い込むことになるだろうなあ
チェリオ!。。。七花の上に飛ぶかかる。お子様とがめ。
まったく、負けた相手に関してどうなるのだ。
ああ。なあ、とがめ。錆のときや姉ちゃんのときやはくびごうの時みたいに、
なにかいい作戦はないのかよ。
作戦といわれてもなあ。基本的にわたしは戦闘そのものについては門外漢だ。
現に薩摩で賊刀・鎧の収集にあたったとき、わたしの提案した鎧どおしは、
あぜくらかならには、通用しなかったわけだしな。
ああ、そういうこともあったっけ。
だいたい、錆の時や七実の時、びよりごうに立てたわたしの奇策はあくまでも
そなたの強度と練度が前提だ。そんなたが弱体化しておる余計な条件があっては
さしものわたしも打つ手がない。
打つ手ねえ。あっ。汽口の将棋の腕前の方はどうなんだったんだ。
まあ、そこそこだ。剣の道を選ばず、将棋一本に絞り込んでいれば、かなりの
使い手になってあったてあろう。わたしなぞ、相手にならぬほどのな。
へえ。そこまでいうんだ。とがめも褒めてるじゃん。
うっ。褒めてはいない。鳳凰から次の刀は天童だと聞いたとき、あの道場だと
思った。だが、当主は変わっていたな。孫娘がついでおったのか。
そうか。最近、当主になったのか。
年齢はそなたと同じくらいかな?
っていうことは、23,4か。ううん。もうちょっと若く見えなくもなかったけど。
女の年はよく分からんな。
まあ。そなたはそうであろうよ。
とがめが俺より年下っていうことが。
なああ。チェリオ!
だれが童子属性だ。だれが。
いや、そんなことは一言もいってないが。
そなたの姉に髪を切られてしまたことでますます幼く見えるようになったことは
認めるが。
そんなこと、わざわざ認めなくてもいいよ。
そなたこそ、この髪が気におっているおるのではないか?どうだ。
。。。見せつけるとがめ。
ほれほれ。
いや。その。

失礼します。
。。。入って来る汽口。

2人でいるところを見られてしまう。

ど、どうしたのだ。汽口殿。


とがめ殿。さきほどの勝負なのですが、
あ。うむ。
やはり不公平があったようにおもえるのです。
あ。 おお。
とがめ殿と七花殿が、来られてから、わたしも考えてみたのですが。
七花殿があそこまでよわかった。
。。。くっと七花。
となれば、これは勝負が成立したとはいえません。不公平があったように思うのです
おお。
不公平は是正されなければなりません。よって、七花殿をわが心王一鞘流の門下生と
して迎え入れた上でこのわたしが直々に鍛え上げ、その上で改めて、正々堂々の対戦
ということでいかがでしょうか。
ああ。うっ。ああ。。。。とがめ、七花を見る。
ああ。



真庭忍軍、変体刀を探しにやってくる。
こんなところにあるのかい。
はい。あそこです。
うん。

鍾乳石に刺さっている変体刀。

ああ。
。。。妖気を発している。
毒刀・鍍

これが毒刀・鍍ですか。手に取ると、なにかが手によってくる。やめる鳳凰。
まちがいない。かわうその左腕もそういっている。
こ、こんな環境の悪いところでよく。
錆もせず朽ちせずに保存されたものですね。
逆によい環境だったのかもしれぬぞ。
え!
保存ではなく。封印されておったかもしれぬということだ。
実際その状態の時は、かようなまがまがしさを外にはっしておらんかったからなあ。
まあ。そのあたりは四季崎記紀の刀であろうよ。
一応言っておくが、おしどり。この刀、抜こうと思うなよ。
はい。
あ。あのう。刀を武器とするうみがめさんが、これを見られたら。
ええ。どうおもったでしょうね。
ああ。
・・・毒の刀。


剣の修行か虚刀流が刀を持つなんて。おやじや姉ちゃんが聞いたらなあ。
でも、剣の修行ってなにをするのだろう、おやじ以外に手ほどき受けたことが
ないからなあ。おれ。
さっきから、愚痴ぽい事をならべておるわりには、なぜにか顔がほころんでおるのだ
え?いやあ、そんなことないけどな。
・・・焼きもちのとがめ。
ったく、女と見ればすぐこれだ。
はあ?
せいぜい手とり足とり教えてもらうがいいわ。
え?なに?どうしたの?とがめ。とがめさん。
でも。ちょっとやばいな。今回は。
やばいどころか、最悪だ。あれは、おのれが不利になることは。許せても、
相手が不利になることは許せないという性格だ!
いや。防具なしとはおれには、不利でなくて、有利だ!
それを説明出来なかっただろう。
ああ。
たまにいるのだよ。ああいう人間が。わたしのように知謀策略をめぐらすことに
しか興味のない人間には、理解に苦しむ所だがな。だから、策も通じぬ。
心の鬼を心で斬るる書いて、慚愧。わたしのみるところ一筋縄ではいかんよ。
12代目汽口慚愧は真人間過ぎる。
真人間かあ。
あそこまで行き着いてしまうと逆に人間らしらぬ存在だな。心王一鞘流の道場から
門下生がいなくなった理由もなんとなくわかろうというものだ。かといって。


朝。七花。門下生として。。。
とがめはいかない。気が散るからと。いや、全然。
。。。むっとするとがめ。ここは散るというべきところ。女心はわからん七花。
いいわけをいってこもるひきこもり。
じゃあ。行ってくる。
あっさりしすぎだあ。・・・もっとひっぱってほしかった。
もう一押ししろ!


待っている汽口。
稽古を始める。まずは道場の掃除。返事のことも。

。。。とがめ、こっそりと七花を見に行く。
初稽古を心細く思っておろう。ここはわたしがいって励ましてやらねばな。


道場の掃除が終わる。
いやあ。朝からいい汗をかいたな。
七花殿。動かないで。
あ?


。。。やってくるお子様とがめ。声をかける?ふたりが。。。
あ。ああ。

汽口が七花の頭を手をかけている。

。。。逃げ出すとがめ。

うんと汽口、音の方に目を。とがめどの?
うん。とがめ。なんで、なんなにあわてているんだ?あっ。
これが髪についておりました。
おお。
殺生はなりません。
ハチを外に逃がす汽口。
わが流派は殺人剣にあらず。


。。。はしっている。とがめ。
妄想をしている。2人がキスをしていたものと。
関係ない!別にどうってことない。・・・蒼白のとがめ。
ちがう。ちがう。ちがうたら。


稽古を始める汽口。
素振り。
。。。木刀が手から離れる七花。
だめだと汽口。はあ。


帰る七花。
遅いと待っているとがめ。
帰ってきたら、寝こむ。お子様。
今帰ったぞ。あれ?もう寝ているのか?

やあ。疲れたなあ。しかし、何だな。想像以上に剣の道は険しいし、それにもまして
きびしいな汽口は。
あっ。ああ。
でも。それがいやじゃない。
ほう?どういやじゃないと。
お?起きてたの?
ほ。ほっほう。あれほど剣を持つことを拒んでいたそなたのかわりようたら、
びっくりするわ。
ああ。虚刀流が刀をもとことには、今でも抵抗があることにはかわりがない。
でも。対戦相手のおれに、こんなにきびしく手ほどきしてくる汽口が、
ほ。ほっほう。手ほどきとは、なんの手ほどきだ。
へ?今日はなあ。上段の素振りをなあ。
ほ。ほっほう。そうだったかな。
え?あそういえば、とがめ。今日道場に来てなかった?
なあ。
確か。
来てない!
だって。
人違いだ!
そのかっこうそうやたらに。
疲れたもう寝る。
あ?なに、怒っているんだ?
うん。


次の日。
素振りをしている七花。
服が破れる七花。
。。。伺っているとがめ。
   見ている。
とがめ。妄想タイム!
風呂。稽古で、風呂。いや、修行。荒行。き、寒風摩擦。ああ。いやあ。
・・・壊れました。


汽口、道着を繕う。
そして、七花に渡す。
稽古を続ける。



宿で落ち込んでいるとがめ。
ただいまと帰ってくる。七花。
あれはすごいらしいぞと。
うぬう。活人剣といってな。無用なあらそいを好まず。ただ剣のみを追究する流派
なんだそうだ。殺人剣にあらず、まさに無視も殺さずだ。
う。ううん。
まあ。いったら、そこは虚刀流を真逆ということになるんだけどな。
。。。黙っているとがめ。
とがめ?
食事。
え?あれ。まだ、食べてなかったか?もしかして俺のことを待っていた?
うん。遅すぎるぞ。
すまん。俺、汽口のところで夕飯ごちそうになって
。。。立ち上がるとがめ。
汽口と食事したからもう食べないと。うわ。そなたのことを待っていたのだぞ。
いあ。違う。
なにが、違うのだ。いつからあの女と膝付け合わせて食べる中になったのだ。
いや、そうじゃなくて。あまりに稽古が激しくて。おれ。腹が減って動けなくなった
から、汽口が見かねて。
ううう。ふん!
もちろん。これは食べる。とがめと一緒にきまってるじゃん。
。。。ふりかえるとがめ。
いや、汽口の所の食事はなんといってもすごく質素で全然腹の足しにならなかった。
でも、先に食べていてよかったんだぞ。
1人で食べてもおいしくない。
え?
なんでもない。で、剣の修行はどうだった。
やあ。なかなか大変だ。道のりは、険しくてながい。やあ、汽口がさあ。
。。。とがめ。。。
もうよい。まずは食事だ!
て。え?とがめが話題ふったんじゃ?
いただきまーす。うーん。
。。。あれているお子様。
いただきます。



次の日も稽古。
朝のあいさつ。
どがめ。昼を作らせる。大きなおにぎり・・・自分でつくれ!

足裁き、腰の位置を指導される七花。
なってない七花に。。。汽口

とがめ、昼弁をもっていく。

指導する汽口。
七花殿、ちょっとよしか。
あ?
腰はここまで落とす。
うん。
そのまま前へ。
足を引っかけてこける七花。汽口のおおいかかる。

。。。それを見てしまうとがめ。

抱き合っているように見える。

。。。このされた昼弁。
   走ってその場を離れる。学生みたいなとがめ。


すまん。
いえ。すり足はよくなってきました。今の要領をお忘れなく。
はい。
さて。お昼にしましょう。
ああ。
う?

。。。弁当がおかれている?

ええ?



とがめ
七花と汽口が。
。。。妄想。
そなあ。まさか?
ああ。。。。涙が出てくる。
あれ?なに?わたし。なんで?涙が。



。。日が暮れる。
ああ。なんだろう。どうしてなんだろう。1人でいる時間がこれほど長く感じるとは
なっ。いかんいかん。とがめ!チェリオ(さよなら)


稽古言ってきます。
。。。歩
ああ、いやに楽しそうだな。そんなに修行が面白いのか?
それがさあ。もう10日ちかくなるが、なにも進歩してない。
そのようだだ。
なんで、分かるんだ?
そ、そなたの様子をみればわかる。実際に見てなくても。。。。見てますね。
だが、とがめの言うとおり、道場通いは楽しくなって気だぞ。まあ。得手不得手に
関わらず体をい動かすのものは気持ちいいものだ。
うぅぅぅぅ。。。。チェリオ!


稽古をする七花。

ああ。
おつかれさまです。七花殿。
。。。てぬぐいを差し出す汽口。
ありがとう。

もう稽古を初めて10日か。
きっと、わたしの教え方が悪いのでしょう。
え?
実を言えば、わたしは、門下生を持つのは、初めてなもので。いろいろと不格好な
ところもあるでしょうが。そこは我慢して頂くしかありません。
いや。そんなあ。それより、俺が今まで会ってきた変体刀の所有者としてあんたは
違うな。
そんなことはないでしょう。
え?
天下国家のことを思えば、とがめ殿にこの王刀を手渡すのが、一番正しいのだと
分かっていながら、どうしても私信を見捨てられない未熟もののわたしです。
天下国家のため。。。ねえ。
しかし、分かって頂きたい。これは、道場の看板であると同時に、自身の証明でも
あるのです。
代々当主に受け継がれているということだったけど。
旧将軍の刀狩りのおりには、どうしてたんだ?心王一鞘流は、どうやってそれを
旧将軍から守りきったんだ。
その時代には、王刀・鋸は、まだ心王一鞘流の持ち物ではありませんでした。
う?
確か、王刀・鋸を心王一鞘流に持ち込んだのは、8代目当主だったと記憶してます。
あんたのおじいちゃんのおじちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんくらいか?
いえ。わたしと先代とは、確かに孫と祖父の関係ですが、基本的に心王一鞘流は、
血縁によって受け継がれる流派ではありません。
そうなんだ。虚刀流とは違うんだ。じゃあ。どうして8代目が王刀を持っていたのか
というのは、はっきりとはわからないのか。
わかりません。はっきりどころか、まるでかいもく。刀狩り頃のことではないとは
いえ、かなり昔の事となりますので。
ふ~ん。
わたしは、未熟者です。
そりゃあ。さっきの聞いたけど。
今もそうですが。昔は見られたものではありませんでした。剣の修行を怠り、
村で将棋遊びに明け暮れてました。先代とは、そのことでよくケンカをしたものです
う~ん。とがめが、あんたは、将棋も強いと褒めていたぞ。
いえ、とんでもない。七花殿は将棋は?
いや。俺は、さっぱり。
しかし。祖父がなくなり、わたしも将棋ざんまいの生活をしているわけにはいかなく
なったのです。門下生が一人もいない道場をつぐことに、わたしは、なんの魅力も
感じませんでしたが。しかし、当主の証しであるこの王刀を手にしたとたん。
身が引き締まるようなそんな気分になりました。もしも、わたしがあのころと比べて
すこしましになっているとしたら、それはこの王刀・鋸のおかげだと思います。
そういえば、祖父も先代から王刀を受け継いだ際、生まれ変わったような気持ちに
なったということですが。王刀楽土とかいってましたね。
王刀楽土。敦賀迷彩が知ったら、どうしたって手に入れたかった刀だろうな。
うん?敦賀迷彩とはどなたです?いやあ。なんでもない。けどまあ。あんたがその
木刀のおかげで、更生できたっていうのなら、それに越したことはないだろうなあ。
どうですかね。わたしは、どうにも俗物ですから。
いやあ。あんたが、俗物なんて。ないない。まっすぎにまじめに生きているって
気がする。
わたしにも別の人生があったかもしれないと考えない日はありません。
別の人生?
恋に生きる人生もあったでしょう。
え?
とがめ殿と七花殿を見ているとそういった諦めていた感情が沸き上がってくるの。
抑えることができません。
。。。うつむく七花
剣の道だって悪くはないだろう。
しかし、この時代に剣の腕がなんの意味がありますか。心王一鞘流も、おそらく
私の代で最後になるでしょう。なればこそ、先達に恥じぬ剣士たろうという気持ちに
偽りありません。とはいえ、私の代で終わってしまうものにこうやってしがみつく
ことは、あるいはただの未練ではないかと思わなくもないのです。
俺もそうか。
どうかされましたか?七花殿。
いや。いいじゃないかと思ってさ。殺人剣ならまだしも、心王一鞘流っては活人剣
なんだ。この天下太平っていう時代にも、そぐわなくもないはずだ。
七花殿。例え、木刀でも、頭を打てば、人は死にますよ。
。。。そっと見る七花。
小手を打てば、骨は折れるし、胴をうてば、内蔵が破裂し、のどを突けば気管が
潰れる。だから、試合となれば、防具をつける必要がある。
ただ、切れないと言うだけで、殺人剣でないというだけで、活人剣も立派な殺人剣
なんです。さあ、稽古の続きをはじめましょう。



尾張
否定姫。
肯定するつよさよねととがめのこという。
あれは、確かにあたしにとって脅威よ。だから、わたしは、あの女を否定した。
けれど結果から見れば、わたしは、これまであの女に負けぱなしなのよね。
あんたも、その度に同じ被害に遭っているんだから、人ごとじゃないないでしょう。

まあ。わたしもなんど蹴落とされても、すぐに同じ位置に戻って気ちゃんだけどね。
逆に言えばそういう所におもさに残している女なのよね。
それは、確かにあの女の肯定力の表れだと思うけど。
違う。もっと根本的なことかもしれない。
策を練るのが策士ならば、奇策士かねらないのが、奇策士。あの女は考えることに
長けていると同時に考えないことにも長けているのかもしれないわあ。
ねえ。エモン左右衛門。いずれにしても、この刀集めがあの女との長き因縁に決着を
つけることになるでしょう。それにあの女が最後の一本までたどり着ける可能性も
まあ5分5分かしらねえ。
ねえ。ちょっと。さっきから聞いているの!

あっ!そうだった。あいつ、真庭鳳凰を殺しに行っているんだった。



これは、蝙蝠が手にした絶刀・鉋とは、訳が違う。富士の風穴で、カワウソの手で
この刀に手を触れたときには、驚いたものだ。絶刀の特性が、折れず曲がらずよく
切れるあの頑丈さにあったように。この毒刀・鍍の特性は、他のどの変体刀よりも
強き毒気にあるといものだ。ふっふふふふ。
ど、どうされましたか?鳳凰様。
いやあ。おかしくなってしまってな。あの奇策士は、四季崎記紀の完成形 変体刀を
8本まで集めているという。真庭忍軍にとって絶望下の状況下において。
しかし、我らの方が先んじて、もっとも変体刀らしい変体刀を入手したというのは、
なんとも皮肉な話ではないか。対等までとは、いかぬまでもこれで奇策士との会話が
可能になろう。
し、しかし。信濃に向かっておられたウミガメ様が落命。相手が虚刀流でないとする
と。他にだれが。もっといえば、
どういうこと?
もう一つの刀。えっと、えっと、炎刀・銃か、誠刀・銓に近づいていたということ
ですか。あ、あのう、鳳凰様。毒刀・鍍をカワウソ様の左手で読み調べたことで、
他の刀のありかについてわかったりしたことは、しなかったのでしょうか?
ああ。まだだ。そのためには、さらに深く潜る必要がある。忍法たどりは、
もともと我の忍法でないうえにまだ使いこなせているとはいいがたい。
我の修練しだいだ。まずは、ウミガメが落命されたとされる信濃へと足を向けると
するか。
はい。ウミガメさんの霊もともらわなければ。
他のなくなった方達も。うわああ。すみません。蝶々さんのことを。
いいんだよ。皆のともらいは、必ずするさ。
は。はい。
では、参るぞ。


許さず。
あっ。

お前は!
その行為を許しはしない。真庭忍軍のものどもよ。

煙幕を張る忍者。




帰ってくる七花。
ただいま!やあ。とがめ。今日はいい話を聞いたぞ。
チェリオ!
って、最近意味もなく攻撃しすぎだぞ。。。。鈍感男。
俺何かしたか?
意味もなく。なにをいっておる。その鉄槌を意味が無いと。七花、ちょっとここに
座れ!情け無いからであろう。そなた、心王一鞘流になじみすぎてないか!
ええ。
虚刀流の当主としての矜持はどうした。
いやあ。やらせているあんたにいわれたくないんだけど。っていうか、そんな重た
そうな服を着て、よく跳べるよな。
髪が短くなったぶん、身軽になった。今なら、空も飛べそうだぞ。
ああ?
そんなことは、どうでもよい。だいたいそなた、あの汽口をすでに意気投合している
ではないか。
ああ、そうだな。
ええ!認めるのか!あのなあ。汽口は戦う相手だぞ。
いやねえ。心王一鞘流と虚刀流、互いに忘れられた流派とか。
う。うぬ。
最近同じように当主になったとか。
うぬ。うぬ。
いろいろ。
きーーー!
きー?
ふーんだ。そんな楽しい修行生活ももう終わりだ!終わらせてやるもんね。
・・・やきもち。
はあ。
まあ。おもわぬ時間が掛かってしまったが、とりあえず思いついたぞ。
え?
思いついたって?なにが。
奇策に決まっておる。
・・・怖い女の嫉妬。
とにかくいろいろ考えてきたのだが。そなたが汽口慚愧に勝つために現実的なやり方
にはこの一つしかなさそうだ。
俺が汽口に勝つ方法は、一つしかねえのかよ。
無論、木刀使用、防具着用。規則採用という条件下でのことだ。
。。。七花をまじかにパワハラするとがめ。
そなたがまっとうに裸足でてっこうを外した上半身裸の状態で
あの女と戦えば、きっとそなたが勝つと、わたしは信じておる。
しかし、汽口の性格上それは不可能であろう。
不可能か。それで、俺があいつに勝つための奇策っていうのは?
そなたのその弱さを利用する。
弱さ?
おどりむらでのいてぞらこなゆき戦のそなたを忘れておらぬだろう。この刀集めの
旅におけるそなたのはじめの敗北。
ああ。それは、忘れるわけがない。
あれを踏襲する。
踏襲?
踏襲って言うより、ここてはこう言っておけばいいか。
うん?
私達がねらうのは、まぐれ勝ちだ。
・・・策でないよ。
ずっこける七花。
あ?


エモン左右衛門とおしどりが戦う。
煙幕で鳳凰とかわうそを逃がす。
善戦するが。はいろう拳が通じない相手。
あえなく、炎刀・銃で負けてしまう?
。。。満たず。結局真庭鳳凰の暗殺には失敗だ。しかし、この女は見事に目的を
   全うし。さすがは忍者。忍者を辞めたわたしより、ずっと潔い。褒めてやろう
   聞こえずか。
蝶々。。。す


あのさ。出来れば、汽口とは泥試合は避けたいな。
やはり、そなた。汽口に情が移ったのだな。。。。泣き顔のとがめ。
そなた、またもや心変わりをしたというのか。
またもって、俺が何時?
道場で2人きりで何をしておったが、わたしは知っておるのだぞ。
ああ。知っての通り稽古。
ああー。なんの稽古だが。。。誤解し放題。
はあ。
わたしは、そなたを信頼してあの道場に通わせていたというのに。ええい。もう、
そなたの浮気性にはつきあいきれぬは。
つきあいきれないのは、こっちだ。自分からそういう話をしてきておいて。
俺は、あんたのいうとおり、この10日間。あっ。
。。。?と。とがめ。
ああ。
とがめ。ちょっとやばいかもしれない。
やばい!
やあ。まあ。確かに、よその流派の門下生になれというわたしの命令は、理不尽だと
立ったと思うし。愛想を尽かされてもしかたないのかもしれないけど。
わたしには、わたしなりの考えがあってだな。それを聞いてくれてもいいではないか
それを。それを。。。ぽんぽん、七花の胸を叩く。だだっこのとがめ。
わかった。わかった。その件についての話は、終わっている。
う!
。。。。チン!
終わっているとは何だ!まだ、話し合いの余地は残っておるではないか。
・・・別れたくないととがめ。
2人で築いてきた関係を、1人で一方的に終わらそうとは、どういうつもりだ。わた

わたしは、この10日間、どういう思いで。
やばいのは、とがめの策の奇策だよ、
う?そうなのか。ならば、よい。・・・立ち直り。早!
よくはないだろう。
で、それで、奇策がどうやばい?
つまりさあ。奇策は、俺が刀剣つかいのしろうとであることを前提に考えられている
わけだろう。けれど、とがめ。10日前なら、いざ知らず。
あんたがその奇策を練っている間に、俺は達人である汽口から直々にずっと
教えを受けていたんだぜ。俺はもう素人はいえないんじゃないのか。
あ。そうか。確かにそこまでは考えてはいなかった。わたしとしたことが不覚だった
なあ。よし、わかった。
。。。とがめ、七花の首に手を回して
「ちゅ」
。。。目を閉じるとがめ。目がひらきぱなしの七花。
あっ。ああ。
。。。離れるくちびる。
まだ、なにか憶えておるか?
。。。首を振る七花。
全部忘れたと。へなへなになる。


まだ、七花殿はわたしとたたかうには
相手が自分と戦うにおよんでないと、汽口殿もずいぶんと思い上がったことを
いうではないか。剣の道にさとうな絶対はない。どのような実力差があろうが。
剣をとって立ち会う以上は、対等であろう。
わかりました。
うむ。
(とがめのおもわくどおりだ。)

ただ、その前にお願いがあります。この勝負。わたしが勝ったならば、どうか
王刀・鋸をすっぱりと諦めて頂きたい。
承知した。では、まずは将棋戦九局。

。。。さす2人。
王手、ですが、結局は4勝5敗。将棋戦九曲は、とがめ殿の価値です。
では、次。剣術は一回勝負の一本勝負で。

対戦する七花。
用意はいいですか?七花殿。
いいよ。一応先に行っておくけど、十日間いろいろと世話になったなあ。
なに一つ身につかなかった。できの悪い門下生だったけど。
いい経験になったと思うぜ。
いや。わたしほうほうが多くのものを学ばせてもらえました。
おそらくまだわたしは人に教えられる立場でなかったということでしょう。
かのうような結果におわってしまったことについては、まことに申し訳なく
思ってます。
まだ、謝るなよ。これでもし俺があんたに勝てば、あんたの正しさが逆に証明される
ことになるじゃねえか。
そうですね。七花殿。あのう。
うん?
木刀の持ち方が間違っています。。。。怪訝な顔の汽口。
え?ああ。うん。
。。。冷静に見ているとがめ、・・・かわいいね。
七花殿。心の鬼を心で斬る。これをもって慚愧と名乗る。心王一鞘流12代目
汽口慚愧。お手並み拝見致します。
いわれなくても、見せてやるさ。ただし、そのころには、あんたは八つ裂きになって
かもしれなけどなあ。
それでは、そろそろ始めましょう。
ああ。・・・調子が狂うなあと。

うん。
それではいざ尋常にはじめ。

。。。。木刀で構える2人。

    それを見ているとがめ。汽口の方を見て。七花を見て。汽口をみて。
    目を閉じる。

うふ。76歩
。。。ああと動揺する汽口。
心中で棋譜をうつ。それに答えて次の手をいうとがめ。
・・・繰り返し。

(まるでわたしの手を読み知っているかのように。)
48銀
(動けない。だめだ収集力を乱される。)
・・・・将棋をしているとがめと汽口
(そうか。だから、九曲対局を負けで終わらせたのか。)
43銀。
(最後に先手を取るために)
58金
(この人と10曲対局しただけ。わずか2千手でわたしの手を読み取ってしまった)
(このひとは。)
68玉
(考えなきゃいいのだ。そうか七花は将棋ができないのであったな。)
78銀
(考えなきゃいいのに。どうしても考えてしまう。)

・・・・・

面!
う。ああ。
だあああ。。。。ずっこける七花。


心王一鞘流対虚刀流の一番は、とてもしずかにあっけなくなんとも地味に決着が
ついたのでございます。


なるほど。心理戦ね。まったく、俺のにがてな領域だな。しかし、そのとがめの
才覚は、できれば、敦賀迷彩戦あたりで発揮してもらてほしかったものだが。
だわけが。だから、なんどもいうが、戦闘はあくまて、そなたの領分だろうが。
こんかいのことこそ例外だと思え。
まあ。そうだな。でも、さあ。あれって、厳密には反則ではないのか?
横合いから選手にぺらぺらと話しかけるって言うのは。
なんだがずるい気もするんだけど。
そなたは、なにを言っておるのだ。反則にきまっておろうが。
でも、だったら、そう指摘されそうなものだろうが。あれだけ、規則にうるさい汽口
なら。
だがらな、七花。その反則を取るのは、誰だ!審判役のわたしであろうが!
確かに。
それに、この村において、まさか将棋を指したことを反則扱いできまいよ。
ええ?
なぜなら、ここは将棋の聖地だ。
はああ。でも、とがめの将棋はほんとうにすごいなあ。


(あれからの回想)
全力でお願いします。

(七花)あっというまに、
(とがめ)42手だ

まりました。

(七花)とがめの圧勝。


(とがめ)そなたも6割の力で戦うというしばりでも圧勝したではないか
(七花)いやいや、奥義百花おうらんと繰り出して、やっとの勝利だ。

うっ。あっ。まいりました。お見それしました、七花殿。
知らなかったとはいえ。あなたのような使い手をわたしのような未熟者の門下生と
して使った無礼をお許し下さい。
だから、そんなに謝るなよ。あんたの剣はなにも間違っちゃいないのだから。
剣を取った方がよわくなるなぞ、まるで呪いのようですね。
呪い?
どうぞ。約束どおり。王刀・鋸はお渡しします。
いいのかよ。それは当主のあかしなんだろう。わたしには、まだこの刀を持つ資格は
内容です。いえ、逆ですね。わたしは、この刀から十分な力を得ました。
天下国家のために使うなり、折って捨てるなり、なんなりと。その後の処理はお任せ
します。


また、いつでもいらしてください。
そして、その際には是非もう一度お相手願いたい。そのときを楽しみにあたしは
心王一鞘流の看板をこれからも守り続けようと思います。
看板って。看板は。王刀じゃなかったのかよ。
心の鬼を心で斬る。これをもって慚愧と名乗る。これからがわたし自身が看板です。
看板娘でーす。・・・・あらあらかわいい。


楽しかったな。
チェリオ!なんだあ。鼻の下がのびておるぞ。
どこが?
おっ。自覚有りか?
だからなんの?
まあよい。それより残る刀はいよいよ三本か。
真庭の連中、あっちはあっちで刀を集めたりしているのかな?
さて、どうだろうな。連中にそれほどの器量があるとは思えぬが。一本くらい
やつらの手に落ちていても不思議じゃないだろうな。七花。今回の件は、
あんまり考えたくない今後の件を示唆しておるな。
ううん?ああ、俺が刀をもつとめちゃめちゃ弱いってことか?
けど、今回のような場合ってさすがにもうないと。
いや。それは、それで、はなはな不安要素であるが。
。。。とがめ、七花の顔をのぞきみる。
旧将軍のことだ。
旧将軍?
刀狩り令のことだ。旧将軍はどうして、王刀・鋸を収集できなかったのかとな。
どうしてって。
毒を発さないとか。毒気を抜くとか。そんな王道楽土の効果をさておけば、
あくまでもただの木刀だぞ。その木刀でどうやって、当時の王刀・鋸の所有者は
どうやって旧将軍を撃退したのだ?
ううん?
刀狩り令。表向き目的は、刀大仏建立のため。裏向きの目的は剣客撲滅のため
真の目的は、四季崎記紀の変体刀集め。
しかし、実は、その裏があったのはないだろうか?
旧将軍の刀集めの失敗もわたしが思うところとちがったかもしれん。
だとしたら、どうなるんだ?
だから、だとしたら。いや、まだ可能性の話だ。そなたが気にするような話じゃない
忘れておけ。
忘れておけって。そんなにきになることをいわれたら。
それともなにか。また。
あ?
また、忘れさせてほしいという。おねだりのつもりか?
。。。顔が真っ赤になる七花。
うっふふふ。どうした?七花。顔が赤いぞ。



汽口慚愧(きぐち ざんき)
棋士の聖地・出羽の将棋村に道場を構える心王一鞘流の十二代目当主。
これまでの変体刀所有者とは違い、非常に真面目な性格の持ち主。
剣の腕前だけでなく、将棋の腕前もなかなかのもの。
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