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妖狐×僕SS 第11話 陽炎 [TVアニメ]

。。。いい話だ。蜻蛉っていいやつ?
   同じ境遇の御狐神と凜々蝶。御狐神、感化されることに。
   手紙で通じるなにか。卍里は昔からいじめられっ子。蜻蛉と残夏に。


。。。御狐神の家。
♪~
(御狐神双熾)ダージリンです。
あっ。いや、私はその。
。。。双熾がいっぱい。
(女)そんなにおびえなくてもいいじゃない。まさに狐につままれたような顔ね。
 うふふふふっ。化かされるのは初めてかしら。
 奥様。そんなに笑われては気の毒です。



 コン
(ナレーション)<妖怪の先祖返りの家はどこも栄えていた>
<先祖返りを始祖の再来とし、
 大事に敬い育てることでさらなる繁栄を呼ぶというのが
 多くの解釈だが。それとは違う裏解釈もあった>
 コン
<邪悪な妖怪で知られる九尾の妖狐の血を引く御狐神家ではその強大な力を持つ先祖返りを
 管理することで家が力を持つとされていた>
<祀るように軟禁されていたのだ>

・カチャ(鍵を開ける音)

<厳重な送り迎え付きで学校には行かせてもらえたが、
 それ以外はこの部屋の中がすべてだった>
、、、飼い慣らし。
♪~

<その異常な環境に誰もが見て見ぬふりをした>
<親はいるのだろうが、まともに会ったことはない>
<そんなことがありうる家だった>
<先祖返りの家はどこも宗教じみたところがあり
 その歪みと相対するには自分が幼すぎた>
<持っているものは学校で学べる程度の知識と生まれ持った小賢しさと
 自分自身だけ>

。。。メイドに手を出す双熾。
あっ。

<最初はメイドだった>

<孤独でかわいそうな人肌恋しい少年を演じれば
 大抵の女性は警戒を解いた>
<あとは彼女たちの心の隙間に入り込んでいくだけ>
<そこから枝を伸ばすようにより力を持つ女性へとにじり寄っていった>

双熾 そろそろ出るわ。

<そして やっとたどりついた>
<一族で最も力を持つ女性>
<彼女に気に入られるのは簡単だった>
<子供もなく時とともに夫にも相手にされなくなった寂しい人>

ふふっ。こら やめなさい。

<女として扱えばいいだけ>
<時間やお金 そして自分 いろいろなものを持て余していたから>
<彼女のペットとしての自由を手に入れた>
<それ以外にも彼女といることで経験や贅沢、教養を手に入れた>
<でもここで終わるつもりはない>
<もっと本当の自由を>


<1年後それは かなった>
<奥様に同行したパーティーで出会ったのだ>
<ずっと探していた御狐神家以上の力を持つ家柄>
<正義感が強く 優しく 面倒見のよい 暇で 出しゃばりな女性に>

(菖蒲)事情はよく分かったわ。御狐神の家でそんなことが行われていたなんて。
 ややこしい話になりそうだけど、もう心配しなくていいわよ。
 大変だったわね。
(御狐神)はい。

<十分に哀れんでくれたようだ>

(御狐神)やっと やっと解放されるんですね。
(菖蒲)ふふっ。
 一族ぐるみで軟禁ってことは行く当てもないわね。
 うちに来なさい。

(御狐神)菖蒲さん。
(菖蒲)ん?
(御狐神)ありがとうございます。
。。。口を近づける双熾

(菖蒲)こら!
(御狐神)あっ。
(菖蒲)図体でかいからって マセガキが!
 あんたの相手はうちの息子よ。

(御狐神)男性ですか。 初めてですが、頑張ります。
(菖蒲)そうじゃなくてね。
 そういうのは立場上許せないのよ。
 うちの息子があんたと同じ先祖返りなの。

<彼女の名は青鬼院 菖蒲>
<そして僕は彼女の息子に会った>

<彼女の息子 青鬼院 蜻蛉に>


(蜻蛉)今日から貴様は私の玩具だ!
 手始めに靴をなめてもらおうか!
(御狐神)はい。
。。。そうする双熾。

(蜻蛉)待て。貴様 プライドはないのか?
(御狐神)自尊心とは自分あってのものです。蜻蛉様。
 おっしゃるとおり 僕は今日からあなたのもの。
 あなたなくして尊べる自分などありません。
(蜻蛉)驚いた。 なんてつまらない男だ。
(御狐神)御狐神双熾と申します。

<自分で責任の取れる年になるまでこの家にいるようにと言われたので
 それまで蜻蛉の話し相手 兼 世話役を買って出た>
<いつか一人で生きていくためにお金が欲しかったのだ>
<青鬼院家だけあって十分すぎる額だった>

(卍里)うわ~!
(蜻蛉)ふはははっ!よいぞ!よいぞ!

(残夏)行くよ。ラスカル~。 。。。ガッキー?


<二十歳までの辛抱だ>
<それで本当の自由が>
<それまでそつなくこなそう>
<やれるはずだ>
<装い 偽り 媚び>
<この身一つでやってきたのだから>


(蜻蛉)これにいい感じに返事を書いておけ。
(御狐神)これはご婚約者の白鬼院凜々蝶様からのお手紙では。
 よいのですか?
(蜻蛉)よい。 面倒だ。相手をしてやれ。
(御狐神)承りました。

<蜻蛉様の婚約者は「白鬼院」という青鬼院とは別の鬼の血を引く一族の女性>
<まだ会ったことはないけれど、その内容やきれいな言葉遣い
 文字から丁寧で繊細な女性という印象を持った>

(心の声)≪蜻蛉様そのものを装いつついい感じの返事というのは無理だ≫
「私の性奴隷になれ」とか書きそうだ。

≪「蜻蛉」として、うそにはならない程度に美化して書かなくてはいけない≫
≪彼女に好かれそうな「蜻蛉」という名の架空の人物を頭の中に作ろう≫
≪包容力のある男がいい≫
≪彼女と同じく丁寧で 品行方正で≫
≪今までどおり相手に好まれるように合わせればいいだけ≫
≪簡単だ。ずっとやってきたことだ≫

<そうして手紙のやり取りは始まった>
<だが、思ったようにはいかなかった>
<返事は難航することになる>

(御狐神)≪淡々とした内容の本だ≫
≪どこでしたと書くべきか≫

<自分にはおよそ感動というものがなかった>
<笑うときも泣くときもすべて相手の反応を見つつ行ってきたから>
<自分にあるのは誰もが持つ三大欲求と自由への野心>
<それぐらいだった>
<人柄は装えても感じてもいない感想を述べるのには時間を要した>

(御狐神)≪「蜻蛉」として彼女に好かれること≫
≪それが仕事だ≫
≪いかにも感銘を受けたというふうに書かなくては≫
≪「蜻蛉」は包容力のある落ち着いた男性≫
≪なら、共感を覚えるとすればあの登場人物だ≫
≪だとすれば、あのシーンに感動してあのシーンでは≫

(回想)(蜻蛉)《なんて つまらない男だ》
(御狐神)はっ。
≪こういうことか≫

<そうか 僕にはこだわりがないのか>
<小さなことに気持ちを割く余裕もなく生きてきた。感動なんてない>


<だけど 手紙を書く度にそれを考えざるをえなかった>
<手紙のやり取りは続いた>
♪~

<彼女との話題のため いろんなものを見聞きした>
<彼女は外に出るより 家で趣味に没頭するタイプだったので
 純文学やクラシック音楽の話題
 そして妙に偏ったマニアックな話題まで いろいろな話をした>
♪~

≪「とうとう夏が終わってしまいましたね。夏は体調を崩すので不得手ですが
 何かの節目のように感じてしまって終わる頃になると何も変われなかったと
 振り返るのです」≫

<彼女は感傷的な人だった>
<長くやり取りをしているとそういう印象を持った>
<繊細 敏感 潔癖>
<時に偏ったところがあったが。それもその片鱗に思う>

<普通なら流すようなところも 目をそらせない性質だろう>
<自分には彼女と同じ感度で物を見ることはできなかったので
 想像しなければいけなかった>

(御狐神)「蜻蛉」ならこんなとき。彼女はそれに対して。

(白鬼院凜々蝶の声)「最近コーヒーが飲めるようになりました。
 お屋敷に九官鳥がいます。口下手な私といつも話をしてくれます」
♪~


(凜々蝶の声)「また春が来ました。クラス替えは緊張します。
 勉強は好きです。
 知らないことを知るのは楽しい。
 ところで あの本は。
 この曲がとても好きです」。

<すっかり 「蜻蛉」という虚像として想像することが板についてきた>
<自然なことになっていた>

(御狐神)はっ。

<想像するということがこれほど錯覚を起こすことだとは思わなかった>
<これは自分の感情ではない>
<今までどんなに装っても役に引っ張られたことはないのに、なぜ>

。。。惹かれてしまった
<自分は彼女に感化されていたのだ>
<ただの張りぼてがその気になって感動に酔った>
<それは彼女のまね事にすぎなかったが。神経が広がっていくようだった>


(蜻蛉)許婚殿が夏休みの間 我が家に滞在することになった。
 もちろん手紙のことは内密だぞ。
(御狐神)はい。心得ております。

<どんな人だろうという興味があった>


。。。やってくる凜々蝶。
(凜々蝶)お出迎えわざわざどうも。
 しばらくお世話になりますとでも言っておくべきかな?
(女中頭)り  凜々蝶様は長旅で疲れておりまして。
(メイド)そ  そうですわね。 では、お部屋にご案内。

(凜々蝶)夕刊を頂けるかな? 今日の為替と株の動きが知りたいんだが。
(メイド)は  はい。


(蜻蛉)あれが我が婚約者殿だ。 驚いたか。
(御狐神)いいえ。


<驚いた>
<手紙の彼女と同一人物とは思えない>
<こちらと同じく代理が書いていたのではないだろうか>
<確かにこんな子供の書く内容ではない>
<愛想笑い一つできなくても十分愛され 守られ成り立つというわけか>
<自分とはあまりに違う>
<だけど 何より驚いたのは自分が落胆していることだった>


(蜻蛉)許婚殿がストレスで吐いたらしい。
 慣れない場所で気を張ったのだろう。
 もともと丈夫な方ではないからな。
(御狐神)気を?
(蜻蛉)そうは見えんだろうが。あれでも一応な。
 手紙の主があれで幻滅したろうが。まあ嫌ってやるな。
(御狐神)えっ? ご本人が書かれていらっしゃるのですか?
(蜻蛉)もちろんだ。 代理を立てるなんて発想もないだろう。
 要領が悪いからな。
 許婚殿は学校ではいじめられ、家でもうまくいってないらしい。
 飼われているようなものだという意味では  ふっ。貴様と同じか。

≪だったら、なおさらよりうまく身をこなさなければ≫
≪器用に立ち回り生きなければ≫
♪~

。。。見る凜々蝶を。

(御狐神)同じじゃない。

<彼女は自分のような無情な人間ではない>
<幼くとも日々いろんなものを敏感に感じているのに
 誰がそれを知っているのだろう>
<誰がそれに気付いているのだろう>

<うなだれた小さな体が自分とあまりに違って
 その違いを痛々しく思った>

これは

この感情だけは
 自分だけのものだ。

♪~


(蜻蛉)まだ手紙のやり取りをしているのか?
(御狐神)はい。
(蜻蛉)もう私も家を出たのだ。適当なところでカタをつけろ。
 貴様もそろそろ出ていくのだろう?

(御狐神)蜻蛉様にその気はないのですか?
(蜻蛉)なんだ?貴様がその気になったのか?
(御狐神)ご冗談を。
 大事な主人のご婚約者ですよ?
(蜻蛉)よいぞ。よいぞ。略奪愛! 断然おもしろい!
(御狐神)さようですか。


<違う。ただ彼女を見守りたいのだ>
<こんなことを思う日が来るなんて>
<あの夏休みから彼女はより自身の内面を打ち明けてくれるようになった>
<彼女の脆さ 不器用さすら尊いと思う>
<彼女が自分に心を開いてくれているのがうれしかった>
<そう喜んだ瞬間 いつも我に返った>
<「自分」にではない>
<自分が想像した「蜻蛉」という理想の偶像にだ>
<僕には決してなれない>
♪~

<初めて自分のことを書いてみた>

<彼女の目を汚さないようぼかして書いた>
<いけないことだということはよく分かっていた>
<そんな何もかもがどうでもいい衝動だった>
<ああ。あの本の主人公はこんな気持ちだったのか>
<世界には自分と彼女しかなかった>
♪~

。。。返事。

(凜々蝶の声)「今まで蜻蛉さんをどこか遠くに感じていました。
 初めて少し近づけたような気がします。
 初めて本当のあなたが見えたような気がする」。


<初めて  と言ってくれた>
<初めて書いた本当の自分に>

(御狐神)はい。

<そうです。こんなに乏しいものが僕の正体です>
<気付いてくれたんですね>
<ありがとう>
<あなたに出会って 僕もいろいろなことに気付きました>

(凜々蝶の声)「今日は妹に会いました。『お姉ちゃん』と呼ばれて
 うれしかった。
 アンドレ・ギャニオンを知っていますか?
 『めぐり逢い』という曲がとても好きで。
 街で蜻蛉さんの乗っているという車を見かけました。つい中をのぞいてみました。
 蜻蛉さんは優しい人ですね。
 蜻蛉さんは金木犀の香りを知らないのですか?きっと嗅いだら分かります。
 どこかですれ違ってるはずだから」
♪~


(菖蒲)そう。来週出るのね。
(御狐神)次の春までは一人で暮らしてみます。
(菖蒲)次の春まで?
(御狐神)はい。
 春からメゾン・ド・章樫というマンションでシークレットサービスとして
 働きます。
(菖蒲)あら、蜻蛉が住んでる所じゃない。
(御狐神)はい。 蜻蛉様のお世話がしたくて。
(菖蒲)ふふっ。そういうところは健在ね。


<ただ誰よりもおそばに>
<望むことはそれだけだった>


。。。現在。
(御狐神)蜻蛉様の言うとおりです。
 僕はあなたをだましていたことになります。

(凜々蝶)あっ。

(蜻蛉)ふっ。


(蜻蛉)《あの女のためか 保身のためか》

(御狐神)≪凜々蝶様を傷つけたくないのも本当だけれど、
 あの手紙に書いた内容 自分のことを知ってほしくて書いたのに
 今はそれを追及されるのが怖い≫

(蜻蛉)どうした 双熾。言ってやらんのか?

(凜々蝶)なんのことだ。

(蜻蛉)あの手紙のことだ。許婚殿。
 あの手紙は私が書いていたものではない。

(御狐神)≪凜々蝶様!≫

(凜々蝶)知っているが。

(御狐神)えっ?

(凜々蝶)君があんな手紙を書くか。 僕の目が節穴だとでも?
 あれは君じゃない。
 僕が待っていたあの人は君じゃない。

(御狐神)ああ。≪気付いてくれた≫

(蜻蛉)はぁ。  なんだつまらんな。

ポーン(エレベーターの音)

(凜々蝶)えっ?
(御狐神)なっ!?
。。。蜻蛉、凜々蝶、エレベーターに押し込む

(御狐神)凜々蝶様!

ガコン(エレベーターのドアの音)


(御狐神)なっ。なんのつもりだ!
(蜻蛉)おびえてる。おびえてる~。もうヤツに用がなくなったので
 二人っきりになっただけだ。
(凜々蝶)僕は君に用はない!
(蜻蛉)まあ 。そう言うな。
 これを見よ。許婚殿。

(御狐神)どこから出してる。
(蜻蛉)これだ!
 どうだ。
(御狐神)これは  子供の字?
(蜻蛉)汚いだろう。
(御狐神)まあ。きれいとは言い難いな。
(蜻蛉)私の字だ。
(御狐神)えっ?

(蜻蛉)まあこれが理由だ。許せ。
 これでも後悔したのだ。お前たちは勝手に仲よくなるしな。
 私は私なりにヤツに劣等感を抱いていたのだ。
 ヤツの欲しいものを私が持っていたようにな。
 だから ヤツも道連れに謝罪しようとしたが失敗のようだ。


ポーン

(蜻蛉)我が許婚殿は賢い反面、突然の出来事には対処しきれないらしい。
(凜々蝶)あ
(蜻蛉)あの手紙を代筆していたのは双熾だ。
(凜々蝶)はっ。
(蜻蛉)ではな。また寂しくなったら邪魔しに来るぞ。

。。。。上に上がるエレベータ。


。。。回想する凜々蝶。
(御狐神)《凜々蝶様のことは以前より存じておりました》

(凜々蝶)≪彼が≫

(御狐神)《ずっとお会いしたいと思っておりました》

(凜々蝶)≪そうか≫

(御狐神)《あなた方に凜々蝶様の何が分かっているのですか?》

(凜々蝶)≪彼だったのか≫

(御狐神)《よかったですね。凜々蝶様》

(凜々蝶。)≪だからいつも知っていてくれた≫


ポーン。。。到着
。。。降りる凜々蝶。
♪~

(2人)あっ。

。。。こけかける。
(凜々蝶。)あっ。

(凜々蝶)だからいつも気付いてくれたのか。
 君だったのか。

(御狐神)凜々蝶様!
。。。ハグします犬さん。
♪~

(御狐神)いいえ。いいえ。
 気付いてくださったのはあなたです。

♪~
♪~
♪~


メゾン・ド・章樫。 通称  妖館。
ここに来てここの人たちと出会えて、
君と出会えて 僕は。
次回 「妖狐×僕SS」。二人になった日
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